How To Become A Typer - タイパーになろう

I. なぜこんな文章を書いたか

わたしは一応中堅タイパーらしいので、しばしば熱心なタイピング初心者から「あきうめを越える天才タイパーになるにはどうやって練習すればいいの?」といったようなお尋ねメールを頂きます(※嘘です)。ところが不思議なことに、こんな大事な問題を扱ったろくな FAQ や Web 文書はみあたりません。というわけで、自分なりのヤツを。

この文書をオフラインで読んでいるなら、最新版は次のところにあります。http://dvorak.jp/articles/how_to_become_a_typer.htm

なお、この文書の最後には「よくきかれる質問(FAQ) 」がついています。この文書についてわたしに質問を送りつけるまえに、まずそれを――二回は――読んでください。

II. タイパーって何?

ネット上には「タイパー(typer)」という言葉の定義が山ほどあがっています。そのほとんどは、技術的な熟達や、打鍵速度、限界を克服することといったような話と関係した内容です。でもタイパーになる方法を知りたいなら、ホントに関係ある定義は2つしかありません。

熟練タイパーやネットランキングの上位達のコミュニティないしは共有文化というものが存在しています。その歴史は初期の美佳タイプや黎明期の TypeWell のランキングにまで遡ることができます。この文化に属する人々が「タイパー(typer)」という言葉をうみだしました。タイパーたちは競技としてのタイピングを築きました。タイパーたちがタイピング関連コミュニティを今日のような形にまで作り上げました。タイパー達が WeatherTyping を運営し、TypeWell を使えるようにしたんです。あなたがこの文化の一員で、それに貢献し、その文化のほかの人たちがあなたを知っていて、しかもその人たちがあなたをタイパーと呼んでくれるなら、あなたはタイパーです。

タイパー精神は、タイピングソフトでの記録更新だけに限られた話ではありません。タイパー的態度をその他音ゲーや弾幕 STG などに発揮する人たちもいます――実はどのゲームややりこみ分野でも、一番高い水準ではこのタイパー精神が見られます。タイプソフトでの記録狙いをしているタイパーも、ほかの分野での似たような精神を察知しています。さらにタイパー性は、そのタイパーが活躍する個別分野とは無関係に存在するという人もいます。しかしこの文書ではこれから、一般的な記録狙いタイパの技術と態度、そして「タイパー(typer)」という言葉を生み出した共有文化の伝統に話をしぼります。

タイパーを声高に名乗る別の集団が存在しますが、彼らはタイパーではありません。これはチャット上で馴れ合ったり罵り合ったり、歌謡タイピングばかりやるような人々(主に男のガキ)です。本物のタイパーはこの連中を「ゆとり」と呼び、一切関わりを持ちたくないと思っています。本物のタイパーたちはたいてい、ゆとりは怠惰で理解能力に乏しくあまりタイピングが速くないと思っています。車の点火回路をいじってキーなしで車を始動できても自動車エンジニアにはなれないように、歌謡タイピングで歌に合わせた定型文が打ててもタイパーにはなれないよ、というのがタイパーたちの文句です。

III. タイパー的心構え

タイパーは文字列を打鍵し、情報を入力します。そして自由と自発的な記録更新を信条としています。タイパーとして受け入れられるには、こういう姿勢態度を持つようなふるまいが必要です。そしてこの姿勢を持つかのようにふるまうには、本当にその心構えを信じるしかありません。

でも、タイパー文化に受け入れられたいがためにタイパーらしい心構えを身につける気なら、それは勘違い。タイパーの心構えを本当に信じているような人になれるのは、あなた自身にとって大切なことなんです――打鍵するのに役立ち、その意欲を持続させてくれるんです。すべての創造的な芸術と同様、熟達者になる最高の方法は熟達者の精神をまねることです。知識面だけではなく、感情的な面も含め。

あるいは現代の禅詩が言うように:

道をたどり

師をあおげ

師にしたがえ

師とともに歩け

師を見通せ

師となれ

だからタイパーになりたいなら、以下の内容を何度も唱えて、それを信じ込むこと:

1. この世界は打鍵されるのを待っている魅力的な文字列でいっぱいだ

タイパーであることはとてもおもしろいのですが、そのためには相当な努力が必要です。その努力をするには意欲が必要です。優秀な陸上選手は、自分の肉体的な限界を越えて体を機能させるという肉体的な喜びが意欲の源です。同様に、タイパーになるためには自分の指先の動きをみがき、先読みを働かす練習をして、文字列を打鍵することにゾクゾクするような喜びを感じるようでなければいけません。

あなたが生まれつきこのように感じないなら、タイパーになるにはまずそのような人にならなくてはいけません。さもないとタイピングへの意欲が、セックスやお金や社会的な名声のようなつまらないことに惑わされてしまうでしょうから。

(自分の学習能力に対する信頼も育てましょう。たとえ今の段階では長文を打ち下すすべての技術を知らなくても、その文字列のほんの一部からとりかかって、そこから新しいことを学び取れば、次のトライに十分なだけ加速できて、そして次へ次へと打てば、いずれどんな長文もノーミスで打てると信じましょう)。

2. 同じ文章を一度しか打たないような無駄はいやだ

クリエイティブな文字列は貴重な限られた資源です。世の中にはたくさんの魅力的な新しい文字列が打鍵されるのを待っているのは確かですが、ひとつの文字列を一度しか打たないというような無駄なことをしてはいけません。

タイパーらしくふるまうには、同じ文字列を何度もタイプする時間は貴重であると信じなければなりません。それをとことん信じて、ひとつの決まったパターンを打ち続けるのがほとんど道徳的な義務であると思えるようになりましょう。文字列を打鍵し、その最適化の仕方を身につければ、他の文字列についてもその技術は応用でき、さらなる打鍵速度を得ることができるのです。

(文字列すべてをいつまでも繰り返し打つ義務があると思いこむ必要はありません。でもそうするタイパーが、他のタイパーたちから最高のライバル心を持ってもらえるのは確かですが。家事、仕事や勉学、その他生活に必要なだけの時間をまかなうのに十分なだけの回数しか打たないことにしても、タイパーの価値観と矛盾しません。タイピングしている間、自分がタイパーであることを忘れない限り、自己顕示をしたり、あるいはネトゲ廃人になるためであっても、タイピングの技術を使うことはタイパーの価値観と矛盾しません。)

3. 退屈と単純作業こそが善

タイパーたち(そして一般的に没個性的な人たち)に限っては、退屈したり、くだらない反復作業を繰り返したりする必要が大いにあります。だってそういうときこそ、彼らしかできないこと、つまり決まった定型文を何千回も打ってタイムを更新したりということが行われることになるからです。こういう無駄はタイパーにとって有益です。だから退屈と単純作業はつまらないものなどでは決してなく、本当にすばらしいものなのです。

タイパーらしくふるまうには、これを徹底的に信じ込んで、自分自身のためばかりでなく他のみんな(とりわけ他のタイパーたち)のためにも、退屈な時間や作業をできるだけたくさん山積させてあげたくなるようにしましょう。

(これには明らかな例外が一つあります。タイパーたちは時々自分の気持ちの切替えのために、あるいは新たな打鍵技術を習得するため、またほかの手段では出来ない特別な経験を積むために、端からはとても独創的でクリエイティブに見えるようなことをします。しかしこれは好きでやっているのです――打鍵能力のある人なら、決して創造性を強制されるべきではありません。)

4. 自由は善

そもそもタイパーたちは権威主義です。あなたより打鍵が速い人の記録は、あまりにも速すぎて何かあなたが興味を持っている記録更新を止めさせてしまう力があります――しかも、光速タイパーの特徴として、あらゆる分野においてあきれるくらい手の届かない記録を保持しているのが普通です。だから自分より速いタイパーに出会ったら、無謀でも必ずハネっかえらないといけないのです。そうしないとあなたや他のタイパーたちはやる気を失ってしまいます。

(だからといってすべての高速タイパーにつっかかれということではありません。子供には指導がいります。タイパーは、高速タイパーを崇めるだけの屈辱以上に欲しい何らかの技術を手に入れるためなら、ある種の権威を認めることに同意することもあるでしょう。しかし、それは制限のついた意識的な取引です。高速タイパーの記録に対する個人的な降伏などは提供しないのです。)

光速タイパーあるいは不正でのし上がった似非タイパーは秘密が大好きで、実はさらに良い記録を持っていても隠していたりします。さらに彼らは独りよがりな努力、地道な最適化による打鍵速度の向上を怪しむのです。彼らは自分たちに管理できる「尊敬」だけを好みます。だから、タイパーらしく行動するためには、記録の捏造や秘密化、そして不正を無理強いするような圧力やごまかしの使用に対し、本能的に敵意を感じるようにしなくてはなりません。そしてこの信念に基づいて行動しなければならないのです。

5. 心構えは技能の代用にはならない

タイパーになるには上記の心構えをある程度身につけなければなりません。しかしスポーツのチャンピオンやロックのスターになろうとしたら、心構えだけではどうしようもないでしょう。同じように、心構えだけでタイパーになれるわけではありません。タイパーになるには知性、実行力、献身、そして大きな努力が必要です。

ですから、あらゆる面で姿勢や態度は信用せずに、技能・記録を重視することを学びましょう。タイパーは、タイパーもどきの相手をして時間を無駄にしたりはしませんが、記録には頭を垂れます。なかでもとりわけ TypeWell の記録を崇拝しますが、その他どんな記録でもいいのです。ごく少数の人しか出すことができない、ハードルの高い記録は特によいもので、打鍵の正確さ、特殊さ、速さを必要とするハードルの高い技術での記録は最高です。

偉大な打鍵記録がすばらしいものだと思える人なら、自分の記録を更新していくのも楽しめるでしょう。そのための大きな努力や献身も、単調な骨折り仕事ではなく、一種のもっと強烈な遊びになるでしょう。そしてタイパーになるには、それが不可欠なのです。

IV. 基本的なタイピング技術

タイパーとしての心構えは重要ですが、技術はもっと重要です。心構えは技術の代用にはなりません。タイパーの誰かが、あなたをライバル呼ばわりしようなどと夢にでも思ってくれるには、まず身につけるべき基本的なスキル一式があります。

この推奨スキルは時代と共にだんだん変わります。高速タイパーが新しい打鍵法をうみだし、古い打鍵法を時代遅れにするからです。たとえば、かつては左右のシフトキーの使い分けがここには含まれていました。また現在最適ローマ字選択の技術を含めるかどうかを検討中です。いま明らかに含まれるのはこんなものです:

1. タッチタイピングを身につけ、最適化すること。

当然のことながら、これは基本的なタイピング技術です。もしタッチタイプできるキーボード配列がひとつもないなら、まず Qwerty から始めることをおすすめします。設計は綺麗ではありませんが、普及しており、関連ドキュメントもしっかりしているし、何より大抵のキーボードには Qwerty でアルファベットが印字してあるので、初心者にはとっつきやすいでしょう。でも入門配列として最適でも、おもちゃではありません。最適化を施せば、強力で柔軟で、長文の打鍵にも十分対応していけます。

Dvorak もタイピングを学ぶには良い配列です。Qwerty よりは普及していませんが、英文打鍵では有意に Qwerty より高速です。 母音 aoeui がホームポジション上に置かれ、交互打鍵を重視するという配置が現代配列の基本的な考え方のひとつであることからも、二番目の配列としてはとてもすぐれていると言えます。

でも配列を一つしか知らないなら、タイパーではないのです。あなたは文字列の打鍵について考えるのに、ひとつの配列に依存しない一般的な方法を身につけなくてはならないからです。真のタイパーになるには、配列表を自分のこれまでの知識と関連づけることで、新しい配列をものの数週間で習得できるようにならなくてはなりません。ということはつまり、ぜんぜん違った配列をいくつか学ぶべきだということです。

本気で日本語のタイピングをするなら、JIS かなも練習するしかありません。これは日本語打鍵に特化した配列です。新 JIS や__花、__月なども JIS かなと密接な関係にあります。どれかを知っていればカナ打ちの基本は身に付きます。ですが、いずれも真っ先に練習しようとするのには向いた代物でありません。なぜなら、それらはタイピング競技の中で重要なアルファベットの入力をカバーすることができないからです。

タイパーにとって特に大事な配列としては以上ですが、配列はそれ以外に __sky や __oea , NICOLA , TRON などをはじめ多数あります。__sky , __oea は日本語のローマ字打ちにおいて Qwerty や Dvorak さえも上回るという点で目を向ける価値があります。自分では打てなくても、配列図及び概念は知っておくようにしましょう。NICOLA や TRON はこれらに独特の親指シフトをモノにしたときのすばらしい悟り体験のために練習するのもいいでしょう。親指シフトによる入力の体験は、その後の人生でよりよいタイパーとなる手助けとなるはずです。たとえ、実際には NICOLA や TRON そのものをあまり使わなくても。

実は、以上で挙げたすべて(Qwerty, Dvorak, __Sky, __Oea, JIS かな, 新 JIS, __花, __月, NICOLA, TRON, ...)を知っておくのがいちばんいいのです。これらは重要な高速タイピング用配列だというだけでなく、それぞれ配列の最適化に対して違ったアプローチをしているので、どれも非常に有益な勉強となるでしょう。

ここで各配列の学び方について完全な説明は出来ません。タイピングは複雑な技能ですから。しかし、本や市販のタッチタイプ練習ソフトでダメだとは言っておきましょう(多くの、いやひょっとしてほとんどのタイパーたちは我流で勉強してきたのです)。役に立つのは(a).実際にタイピングをすること、そして(b).頭の中でタイピングをすることのみです。反復練習がすべてを補うのです。

タッチタイピングという単語について補足すれば、これはもちろんキーボードを全く見ずにタイピングができるということに他なりません。重要なのは、数字であろうが記号であろうが、ホームポジションに手を持ってきて手を開いた範囲に入る全てのキーは、見ないでも確実に押せる必要があるこいうことです。世の中にはタッチタイピングができると言っておいて、数字は見ないと押せない、記号がどこにあるのかは覚えていない、といった有様の人が大勢います。彼らはタイパーではありません。例えそれなりに速くキーを打てたとしても、「似非」タイパーでしかないのです。

タイピングを学ぶということは、自然言語で流ちょうな話し方を学ぶようなものです。いちばんいいのは、その分野の熟練者が打鍵しているのをつぶさに観察し、自分でもまねてみて、もっとたくさん観察して、もっともっとたくさん打ってみて、また観察し、また打って……そして自分の打つスタイルが、お手本のもつ力強さと安定感をもつようになるまでこれを繰り返すことです。

以前は観察するのにいい資料を見つけるのは大変でした。多数の映像のなかで、駆け出しタイパーが入手したり観察したりできる動画の形で入手できるものはほとんどなかったからです。しかしこの状況は劇的に変わりました:ブロードバンドの普及、高性能な動画撮影機能を備えたデジカメの登場、個人が動画を公開できる YouTube のようなスペース、それらにより現在ではタイピング動画が広く出回っています。

2. フリーのタイピング練習ソフト類のひとつを入手し、徹底的にやり込むこと。

ここではあなたが自分のコンピュータを持っているか、あるいはコンピュータにアクセスできるものと仮定します(まったく最近のガキどもときたら、なんの苦労もないんだから:-))。新米さんがタイピング技術を習得するための唯一最大の重要な一歩は、美佳タイプか TypeWell か WeatherTyping かのどれかを入手し、それを自分のマシンにインストールし、動かすことです。

ええもちろん、その他にも世界には市販ソフト含め多数のタイピング練習ソフトがあります。しかしそれらは十分な性能を持ちあわせず、タイパーを目指そうという人が日々訓練しやり込むのには不足なのです。特打シリーズや頭文字Dタイピング最速理論、ZAKU 打、エヴァタイプなどでタイピングを学ぼうとするのは、ギプスをつけてダンスを学ぼうとするようなものです(※どうしても市販ソフトが良いというのであれば、__TOD だけは使用に耐えるかもしれません)。

そのうえ、美佳タイプ、TypeWell、WeatherTyping はタイピング競技のスタンダードです。これらを知らなくてもタイピングの方法は学べますが、これらをやり込まずにタイパーになることは出来ません。現在のタイパー文化はかなり強くこれらフリーソフト中心となっています。

だからそれらを立ち上げなさい――わたしは TypeWell が好きですが、他の方法もあります(そして、ええ、これらソフトと市販ソフトを同じマシンで走らせることは十分可能です)。TypeWell を学びなさい。打ち込みなさい。打ちたおしなさい。それでキーボードと語りあいなさい。打鍵文字列を先読みしよう。打ち方を最適化しよう。市販ソフトでは夢見ることもできないほどよく出来た記録解析(TopSpeed, WorstSpeed, 分速計など)が手に入ります。楽しいですよ。そしてあなたが中堅タイパーになってふりかえったら、この時期にどれほどのスキルを自分が身につけたかようやく理解できるようになるでしょう。

  • TypeWell についての詳細は GANGAS を参照のこと。
  • 美佳タイプについての詳細は MIKATYPE を参照のこと。
  • WeatherTyping についての詳細は Denasu System を参照のこと。

3. World Wide Web を使う方法を学び、記録を公開し、ライバルを持ちなさい。

タイパー文化の成果は、ほとんどが自己満足のみに使われてきました。個人的に文書作成やチャットなどあらゆるPC操作を助けつつ、人々にタイピングをしているところをひとたび見せれば賞賛を受けることができました。しかし Web はその状況を一変させました。Web を活用することでタイパーはさらなる記録保持者が存在することを知り、自分がまだまだ井の中の蛙であることを知り、自分と実力が均衡しているタイパーを意識するようになるのです。このようにライバルを獲得し競争の中で上を目指すという姿勢は、タイパーにとって非常に重要なものです。このためだけにでも(そしてそれ以外にもましな理由はいくらでもあります)Web の使い方は身につける必要があります。

これはブラウザの使い方を覚え、e-typing や 打鍵トレーナ、バトタイなどで他人と競うというだけの話ではありません(そんなのサルでもできます)。Web のマークアップ言語である HTML の書き方を覚え、自らタイパーとしての活動を情報発信する手段を持てということです。記号類がタッチタイプできないなら HTML を書くこともタイピングの練習として役に立ちます。何より自分の打鍵の調子や記録などを公開する習慣を身につけることが重要です。だから、ホームページをつくることです。

しかしながら自身の記録を載せるホームページを持つだけでは、タイパーにはまだまだほど遠い状態でしかありません。Web はホームページだらけです。そのほとんどは無意味きわまる、まともな中身ゼロのうんこです――見た目は非常にかっこよさげなうんこだったりはしますが、それでもうんこはうんこなのです。

価値のあるものにするには、ページにまともな中身がなくてはいけません。それは他のタイパーたちにとって興味をひき、そして/あるいは有益なものでなければなりません。少なくともあなたの現在の記録が一望できること、あなたが現在どのようなタイピング競技に集中しているのかがわかることは最低限必要な内容でしょう。そして、あなたの記録を目にして他の人があなたにライバル心を持ち、お互い切磋琢磨するような関係を築けたなら最良です。名の知れたタイパーにあなたの記録を認めてもらえたなら、その時あなたは本当の意味でタイパーになることができるのです。

4. まともに英語、日本語ができないならば、身につけなさい。

私自身英語や国語は高校の頃から得意科目で、書く/読む英語なら人並み以上にはできるのでこれを挙げるのはあまり気乗りがしませんでした。これを言うと頭でっかちと思われるんじゃないかと思ったからです。しかしこれらが元々得意でなかったタイパー数名から、英文打鍵はタイピングの中でも重要な位置を占め、そこで優れた記録を出すには英語を知らないとダメだということ、TypeWell 国語の漢字や TypeWell 憲法に限定した話ではなくタイピング一般について和文打鍵には日本語能力が少なからず関係すること、高速でかな打ちするためには速読力も欠かせないということ、等々を指摘されたのです。

これは全くその通りです。日本語をローマ字に変換する能力についても、長文を瞬時に解読する能力についても、英文で英単語ひとつをまとまった単位として捉え一気に打鍵する能力についても、一定の語学力があれば有利です。あるに越したことはないのです。

英文は打てなくてもいいと思うようであればまだまだタイパーではありません。真のタイパーは万能です。日本人からすれば不慣れな英文はもちろん、さらに困難なランダム文字列でさえも、タイパーの手にかかれば高速で打ち込むことが可能なのです。

V. タイパー文化での地位

貨幣経済を伴わない文化にはよく見られることですが、タイパー社会では名声で地位が決まります。すばらしい記録を出しても、それらがどれほどすばらしく、また、あなたの打鍵能力が本当にどれだけ優れているか判断できる力があるのは、ふつうはタイパーの仲間や先輩たちだけなのです。

ですから晴れてタイパーゲームに参加したら、他のタイパーたちがあなたの記録をどう思うかでスコアをつけることを覚えます(だからこそ、他のタイパーたちがたえずあなたをタイパー呼ばわりするまで、あなたは本当のタイパーではないのです)。タイピングは孤独な作業というイメージがあるので、この事実は見えにくくなっています。またエゴや外からの評価がタイパーとしての動機づけに関係しているということを認めることに対して、タイパー文化はタブーがあり(現在ではしだいに弱まっていますがまだ根強くあります)、このせいで見えにくくなっている面もあります。

タイパー社会というのは俗に言うところの無駄の文化なのです。そこで地位と名声を得るには、他の人々より頭が良かったり、外見が優れていたり、他の人々が欲しがるものを持っていたりしてもだめです。何かをあげてしまうことで、地位と名声を得るのです。具体的には、膨大な時間をあげてしまうことで結果を出し、評判を得るのです。

タイパーたちから尊敬されるためにできることは、基本的に5つあります。

1. タイピング関連ソフトウェアを書く

まず初めに(困難ではあるが)他のタイパーたちが喜ぶ有益なソフトウェアを提供することです。そしてタイパー文化のみんなが使えるように、そのプログラムのソースコードをあげてしまうことです。

タイパー社会での最も神格的な英雄は、大規模でタイピング能力の向上に役立つ本格的なソフトウェアを書き、それが広範なニーズに応えていて、しかしそれを無償でばらまいてくれて、だからみんながいまやその人の書いたソフトを使うようになっている、そんな人です。

2. ランキングにランクインする

もちろんタイパーの本業はタイピングで、何よりの価値基準はその記録にあります。他の人の何倍の時間をかけ何倍苦労しようが、他の人よりも良い記録が出せたならば、それは尊敬に値することなのです。

具体的には、日本国内の web ランキングで参加者数が一番多い e-typing、上位層の厚さでは他の追随を許さない TypeWell のランキングなどで上位にランクインすれば、一挙他のタイパーの注目を集めることができるでしょう。重要なのは、一過性の記録更新ではだめだということです。いくらあなたの出した記録がすばらしいものでも、その後記録更新が途絶えてしまえば、端からすれば何も面白くありません。その記録程度の存在だと思われるだけで、それ以上の何でもありません。一定のスパンで絶えず記録を更新してくる人にこそ、注目と尊敬が集まるのです――何しろ、底がまだ見えていないのですから。

いつまでも記録を更新し続けられるはずがない、とあなたは主張するかもしれません。それはそうなのですが、はなからそう言い放ってしまうことはタイパーの精神に反します。少なくとも現在各種ランキングでトップの座に輝いているタイパーは、自分のその記録がもはや誰も抜くことが出来ない至高のものだとは思っていませんし、トップの一歩下にいるタイパーたちは、今にもその記録を塗り替えてやろうと虎視眈々と記録更新を狙っているのです。その最上位の争いに首を突っ込むことこそがタイパーの憧れといえるでしょう。

3. 有益な情報を公開する

また良いことは、役に立つことやおもしろい情報を集めて選り分け、それを Web ページにしたり、あるいは FAQ のような文書にすることです。そしてそれらを一般公開することです。

新しい配列の提案などはその最たるものですが、そうでなくても例えば自分なりの練習方法を公開したり、何らかの統計を取ってみたり、重要ではあるものの今のところ扱われていない情報というのはいくらでも転がっているものです。

4. インフラが機能し続けるように手伝う

タイパー文化(さらにいえばインターネット文化一般)はボランティアが運営していることが多いです。それを機能させるためには、必要でありながら陽の当たらない作業をたくさんやらなくてはならないのです。例えば e-typing の集計をしたり、タイピングスレのログを保存したりと、そのようなことです。

このような種類の仕事を立派にこなす人々は尊敬を受けます。このような仕事は時間ばかり食って、しかもタイピングをすることほど楽しくないのをみんな知っていますから。それを引き受けるのは献身ぶりを示すことになるわけです。

5. タイパー文化そのものへの貢献

最後に、あなたは文化そのものに貢献し、それを広めることができます(たとえば、タイパーになる方法についてちゃんとした入門文書を書いたりして :-))。このような仕事は、あなたがいろんな経験をし、そしてこれまでの4項目のどれかで名をあげるまではできるものではありませんが。

タイパーの文化には、はっきりした指導者はいませんが、文化ヒーローや長老や伝説の人といった人はいます(グッジョブに出演したような人達です)。他のタイパーとの競い合いという戦場の中でそれなりの時間を過ごすうちに、あなたもその一人へと成長するかもしれません。ただしここで注意! タイパーは、長老やヒーローがエゴをむき出しにすると信用しません。だからこの種の名声をはっきり目指すようなまねは危険です。名声を得ようと努力するのではなく、うまく立ち回ってその名声が自然にやってくるようにしなくてはなりません。そして名声を得ても、自分の地位について謙虚で好意的でありなさい。

VI. 「タイパー」と「おたく Nerd」の関係

人々がタイパーをなんと言おうとも、タイパーになるのに「おたく」である必要はありません。とはいえおたくのほうが好都合なのは事実だし、多くのタイパーは確かにおたくです。社会のつまはじき状態のほうが、本当にくだらない遊びに集中しやすいわけです。タイピングとかね。

このため、多くのタイパーは「おたく」というレッテルを受け入れていますし、もっときつい「変態」という言葉さえ、誇りを込めて使います。それは自分が普通の社会的期待から自由だと宣言する方法の一つなのです。

上達するほどタイピングに集中できて、しかも一方でまともな社会生活が送れるというのなら、それはそれで結構なこと。これはわたしが新米であった 2000 年当初に比べると、現在ではずっと簡単です。主流文化は現在ではパソコンマニアの類にもずっと好意的になっていますから、タイパーがとても素晴らしい恋人や伴侶となることだって多いと気づいた人たちは、実はだんだん増えているのです。

まともな社会生活が送れないのでタイピングに魅力を感じるというなら、それままた結構――少なくとも、気が散って困るようなことはないわけですから。それにまあ、いずれ社会生活のほうもなんとかなるかもしれないじゃないですか。

VII. タイパースタイルの要点

もう一度いいますが、タイパーになるにはタイパー精神を身につけなければなりません。コンピュータの前に座っていなくてもタイパーになるのに役立つことがいくつかあります。以下にあげることは、タイピングそのものの代わりにはなりません(そんなものはあるわけがない)。でも少なくないタイパーは以下のようなことをやっていますし、それがタイピングの神髄に本質的に通じるものがあると感じています。

  • 楽器(特にピアノ)を弾く練習をすること
  • 音ゲー(特に beatmania)をやり込むこと
  • 速読の練習をすること
  • レースゲームをすること
  • 新聞、文学、2chなど、文字に親しむこと
  • (あなたがもし学生なら)勉学にも励むこと

これらのうち、すでにやっていることが多ければ多いほど、あなたのタイパー的資質も高いはずです。なぜよりによってこういう事柄なのかは、少し競技タイピングとの関連性を考えれば理解できるはずです。

最後に、次のようなことはしてはいけません。

  • つまらないおおげさなIDやハンドルを使わない。
  • Typo は極力しない、またそれに見えるネットスラングの使用はしない。
  • 歌謡タイピングで(あるいは他の場所でも)ナンパをしない。
  • 自分より記録の劣る人でも見下さない。馬鹿にしない。
  • 不正をしない。
  • キーボードに鉄槌を下さない。

このようなことは、評判を落とすだけです。タイパーたちは記憶力がいいんですよ。かつての愚行を忘れて受け入れてもらえるまで、何年も苦労する結果になりかねません。

VIII. FAQ

Q: タイピングの方法を教えてください。

このページを公開してから、「タイピングの全てを教えてください」というお願いが週に数通(しばしば週に数通)も舞いこみます。残念ながら、私にはそれだけの時間もエネルギーもありません。なにせ自分自身のタイピングプロジェクトで時間の 110% が使い果たされますので。

たとえわたしにそれだけの時間とエネルギーがあったとしても、タイピングというのは基本的に自分で身につけなくてはならない姿勢であり、技術なんです。真のタイパーたちはあなたを助けようとしてくれますが、打ち方を何もかも手取り足取り教え込んでくださいなんてお願いしたところで、バカにされるだけです。

まず何かひとつの種目でもいいから高速でタッチタイプできるようになること。自分が努力していて、自分で学ぶ能力があることを示しなさい。それから、出会うタイパー達に質問するように。

Q: それではどうやったら始められるのですか?

始めるのにベストなのはともかくタッチタイプを身につけるところです。完全に見ないで打てるようになるまで練習してください。ここでは手段は問いません。パソコン教室でも、情報の授業でも、市販のタイピング練習ソフトウェアでも、MMORPG でのチャットでも結構ですからとにかく身につけてください。

しかしその際、キーボードの印字を見ながら打って次第に配列を覚える、という手段は絶対に取らないこと。一番最初に配列を完全に暗記しましょう。日本語配列でもタッチタイプできるべきキー群は高々 48 キーやそこら(しかも数字は順に並んでいるだけ)です。紙に何回も書くなりして覚えましょう。そしていざキーボードに向かったら決してキーボードは見ずに、どれだけ遅くてもいいから見ないで打つようにしなさい。どうしても見てしまうようなら手の上にハンカチを被せておけばいいでしょう。こうして練習することで、見ないで打って当たり前になります。

タッチタイプは、ゲームのコントローラを握ったときに、ボタンの名前をいちいち確認しないのと同じことです。ピアノの鍵盤にドレミを書いて、それを見て弾くピアニストがいないのと同じことです。見るほうがおかしいのであって、見ないで打てることは偉大なことでもなんでもなく、第一歩です。

Q: いつ始めるべきでしょうか? 私が習得するには遅すぎるでしょうか?

始めようとやる気になったのなら、何歳であれ適齢です。大抵の人は 14~20 歳で興味を持つようですが、私はその上下ともに例外を知っています。 高速タイパーになるためには10代でなければ難しいなどと言われることがありますが、これはデマです。確かに 10 代のタイパーがすさまじい成長速度を見せることがしばしばありますが、かといって大人ではそこまで速度を伸ばすことができないかと言われるとそんなことはありません。実際に古参と呼ばれるタイパー達は皆大人ですし、タイピングを本格的に始めたのはとうに 20 歳を過ぎた後、という高速タイパーは多数います。差があるように思われるのは大人になると 10 代のころに比べてひとつのことにのめり込んで集中することが難しくなるためではないか、と個人的には考えます。

Q: タイピングを習得するのにどれくらいかかるのでしょうか?

才能と、あなたがどれだけそれに打ち込むか(文字通り、打ち込むか)にかかっています。大抵の人は、ひとつの配列に専心するなら半年で人差し指でしかキーを打ったことがない状態から完全なタッチタイプで 400kpm(秒間6.7打、普通の人から見れば十分に高速) 程度の速度を出せるようになるまで成長するように思えます。

けれどもそこで終わりだなんて思わないように。もしあなたが本物のタイパーを目指すなら、さらに二倍程度の速さを目指して打っていくことになります。この場合、かかる時間はそう簡単には予測できません。中には 400kpm 到達から一年程度であっさりと到達する人もいれば、5年かかっても届かない人もいます。才能の差がゼロだとは言えませんが、ここまで差が出るのは単に日頃の努力量の差です。

Q: 手始めにホームポジション上のキーの練習から始めるのはどうでしょうか?

こういう質問をするってことは、ほぼ確実に市販のクソソフトウェアか、それをまねた役に立たないフリーのタイピング練習ソフトを利用しようと思ってますね。それがそもそもの間違いです。そういうソフトでタイピングを学ぶのを、ギプスをつけて踊りを学ぶことに例えたのは、あれは冗談じゃないんですよ。見た目は取っつきやすいかもしれませんが、結局効率が悪いだけだし、どこまで行ってもひどいままです。

それでタッチタイプが身に付かないということはないでしょうが、そういうメソッドに則ってゆるゆるの練習をして学ぶことに慣れていくこと自体が致命的です。仕事でワードを使うのに十分なくらい打てるようになりたい、というのならその方法でも良いでしょう。ですがここで言っているタイピングは競技としてのタイピングです。教習所でならった安全運転では F1 レースには参加できません。後から余計な苦労を背負い込みたくなければ、おとなしく最初から配列を丸暗記し、タッチタイプするところから始めることをおすすめします。

Q: タイピングの練習を手伝ってください。あるいは秘密の訓練法を教えてください。

お断り。タイピング技能は自分で練習し自分が獲得するものです。手伝うこともできなければ秘密の方法もありません。あるのは地道な努力だけです。

Q: どこで真のタイパーたちと話すことができますか。

一番よいのは mixi を利用してタイパーの人と知り合うことでしょう。中堅どころから超がつくほどの高速タイパーまで、かなりの人数が mixi に参加しているようです(私は馴れ合い嫌いの性分ゆえに参加していませんが :-()。 恐らくタイピング関連のコミュニティが存在すると思われるので、そこから辿れば良いでしょう。

WeatherTyping のロビーを利用し、人脈を獲得するという手段もまだ使えるようです。

また、2ch のタイピングスレを覗くのもよいかもしれません。むかしは 2ch に本物の高速タイパーなんかいないよ、と言ったものですが、これは完全に変わりました。勃起さん、俺さんなど文句なしのトップレベルタイパーが輩出されています。匿名ゆえに相手が誰かわからないことが問題ではありますが、情報収集にはいい手段でしょう。ただし独特の文化もあるので、不用意な発言をすると笑いものになるだけです(不安なら、半年ROMってください)。

Q: タイピングに関連した題目に関して、お勧めの役立つ書籍はありますか?

パソコン初心者向けのタイピング入門書などはあるにはあるのですが、当然ながら役には立ちません。そして本格的にタイピングという競技を扱う本を出版しようと思う人がいないくらいには、まだまだこの競技は知られていないのです。

しかしインターネット上にはタイパー有志が公開している参考になる web ページが存在します(当ページもそのうちのひとつであることを目指しています)。「タイパー」「タイピング」などのキー・ワードを利用して検索すれば、当ページのほかにも、有用な情報を見つけることができるでしょう。

Q: タイパーになるには運動神経がないとダメですか?

いえ、タイピングは基本的には指先だけの運動なので、運動神経はそれほど使いません。体力も初期の段階では問題にならないでしょう。ただしひとつだけ、初速の問題というのがあります。これは文字列を認識してから最初のキーを打つまでにかかる時間のことで、完全に反射でキーを叩けるようになっても、人によりかなり差が出るのです。こればかりはある種の運動神経が要求されているといえます。

しかしこれも、反復練習やアルファベット文を読み取るスキルの獲得によってある程度の克服は可能ですから、本当の本当に世界一を目指すのでなければ、それほど気にする必要はありません。

Q: 最初にどんな配列を学んだらいいでしょうか?

こんな質問をしてくる人は実はいません。なぜなら、初心者は標準の環境である Qwerty から練習を始めるに決まっているからです。そしてこれはそれほど間違った選択ではありません。確かに Qwerty は打鍵速度のことも指の移動量のことも考慮されていない愚劣な配列ですが、現に多くのタイパーがこの Qwerty で日々タイピングをしています。他の人と共通の話題がもて、平等な環境で競えるという点で最初にマスターする配列としてはむしろ良いでしょう。

ただし、ずっと Qwerty を愛用することについては個人的に反対です。なぜなら、Qwerty が英文打鍵では Dvorak に、和文打鍵では __Sky や __Oea に劣ることは明白だからです。ですからある程度 Qwerty で記録を出せるようになり、タイピングという競技について理解ができてきたら、ぜひ他の配列も打てるようにすることをおすすめします。そうすることで Qwerty のどこが良くて、どこがダメなのかが体で理解できます。Qwerty 以外の配列の知名度がいまいちでトライする人が少ないのは、ひとえにタイピング界での実績がないから――すなわち __oea 使いの高速タイパーなどがいないから――なのです。あなたがこれらマイナーな配列を使って偉大な記録を打ち立てたその日には、その配列と共に、あなたの名前は後世にまで語り継がれることになるでしょう。

Q: どんなハードウェアが必要でしょうか?

普通の(と言いますか、かなり古いものでも)PC 環境をお持ちであれば、タイピングソフトを動かす分には全く問題ないでしょう。

ただし、ひとつだけタイパーがこだわるものがあります。それはキーボードです。世の中には数々のキーボードがあり、高速打鍵に向くものもあれば全く向かないものもあるのです。へちょい速度でしか打たない普通の人ならばだめなキーボードを使っていても気にならないのですが、尋常ではない速度でキーを入力するわれわれタイパーだとそうはいきません。キーボードの様々な制限やちょっとしたクセが邪魔になってきうるのです。ですからタイパーの中には、キーボードマニアを兼ねている人が少なからずいます(実は私もそのクチです)。

タイピングを始めるときには何も気にせず、今あるキーボードで十分ですが、ある程度の記録を出せるタイパーになった暁には、ちょっとキーボードのことも考えてみるといいでしょう。キーボードについては別頁で詳しく説明される予定です。

Q: 市販タイピングソフトを憎み、非難する必要があるのでしょうか?

いいえ、その必要はありません。市販ソフトが悪くないということはないのですが、それらの制作者はひとえにタイピングの本質というものをまだ理解していないだけなのです。だからあのようなド素人を瞞すようなソフトウェアになってしまうのです。われわれタイパーが一層努力し、この文化を世間に浸透させていけば、きっとそれら市販タイピングソフトを作った人たちもそういうニーズに気づき、初心者からタイパーまでを対象にした製品を作れるはずなのです。

現に SEGA にはタイパーの望むものがちゃんと伝わっており、タイパーの意見を積極的に取り入れた結果、__TOD2004 のような素晴らしいソフトを作ることができました。タイパーだって全員がストイックな遊び方が好きなわけではありませんから、__TODのようなゲーム性があり、それでいて本格的にタイピング技能の向上に使えるような市販ソフトウェアがもっと市場に出てくるというのであれば、それは両手をあげて歓迎します。

Q: どこから手をつけたらいいですか。フリーのタイピングソフトをどこで入手できますか。

このページの中に広く使われているフリーのタイピング練習ソフトウェアへのリンクがあります。タイパーになるには、自分を教育する意欲と自主性と努力が必要です。さあ、それを今すぐ発揮して……

M. 言うまでもなく

上記の文章は Eric S. Raymond によるかの有名な文章、How To Become A Hacker のパロディです。より正確には山形浩生さん訳の日本語文のパロディですが :-p

オリジナルの格調高い物言いや、文章全体の構成を悉くパロってこの文章が生まれました。「ハッカー」であった部分を「タイパー」に置換するというアイディアがまずあり、それに際して、元の形を最大限残しつつ、実際にタイパーになるためのハウツーとしての中身にも妥当性があるものを目指しました。

ですから、本文中の皮肉った言い回し、あたかも自分がタイパーの世界の頂点を極めた上で書いているかのような態度、などなどは原文に由来するものであり、私の仕業ではありません。手を加えただけでなくほとんど私が一から書き起こした部分についても、原文のあり方を尊重し極力似せるようにしています。

このように冗談半分の文章ではありますが、一人でも多くの人がタイピングという趣味に興味を持つきっかけになれば幸いです。